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南極点滞在2日目 その②

 

到達してやるべきことを済ませたら、大分自由な時間が取れるようになって来たようです。と言うよりも、時間を持て余していると言った方が正しいかもしれません。それもそのはず、今までひたすら歩くことに費やしていた時間が、丸々空いてしまうわけですからね。その分、事務局への報告量が増えて来ました。

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 南極大陸は、どの国も領土とせずに平和利用に限った活動のみが許された大陸です。南極条約という国際条約により守られ、資源開発であるとか軍事施設を置く、などは許されません。私たち冒険活動を行う者も、南極条約の環境議定書という南極の自然環境に対して定められた取り決めを守る必要があります。ゴミは持ち帰りなさいとか、野生動物(今回の私のルート上には何もいませんが)に会ったら何メートル以内には近付いてはいけませんとかです。ALEはそれらの南極条約で

定められた活動の範囲内で、冒険活動を支援する為に30年近く前に立

                                   ち上げられた民間組織です。

 南極点のALEキャンプには、今では私たちのような冒険家だけでなく、観光目的の旅行客もやって来ます。キャンプには料理人もおり、美味しい食事を毎日食べさせてくれます。彼はカナダ人のミッシェルさんと言うよく喋る、明るくおおらかで素敵なおじさんです。

今夜の夕食は、ラム肉をミッシェルさんが絶妙な加減で焼き上げたステーキでした。ここでの食材の多くはチリから輸送してきます。チリ、パタゴニアは羊肉が有名なところで、今日食べたラムはミッシェルさん曰く「テンダーロインのすごく良い肉、これは最高に美味いぞ!」との事でしたが、想像以上に本当に柔らかくて美味しかったです。まさか南極点でこんな豪華な食事をいただけるとは。ビールもあり、遠征の疲れも忘れて小躍りしながら五臓六腑に染み込むような久しぶりのアルコールを楽しんでいます。実は私が南極点に到着し、キャンプに入った時にミッシェルさんがシャンパンを用意してくれていて、南極点到達をみんなで祝ってくれました。嬉しかったな。

長年、極地を旅してきましたが、こういう素敵な人たちとの出会いが本当に忘れられません。

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なんだか心底、南極点を堪能しているようです。しかも飲んでるし...。この旅で一番良かった食事が、南極点で食べたものになりそうですね。

早いもので到達から、そろそろ3日が経とうとしています。南極点とも間も無くお別れです。行きたくてもまた直ぐに行かれる場所ではないので、充分楽しんで来てほしいと思います。